今すぐできる坐骨神経痛ストレッチ法と対処法

坐骨(ざこつ)は、お尻の部分に位置し脊髄や股関節とつながっています。座る、立つなどの一般的な日常の動作から、座ったままの仕事や勉強、重労働や激しいスポーツなど様々な動きの中で使われる場所です。

座骨神経痛は、坐骨の周りの筋肉にコリが生じると鎖骨が圧迫されて障害を起こします。

坐骨神経痛は、おしりや太ももに痛みやコリがあるのが特徴です。歩いている時、足がつっぱって歩けず、少ししゃがんでいると、歩けるようになったりしたことはないでしょうか。また、腰回りの鈍痛や、足のしびれ、おしりの突っ張りがあります。

コリや痛みがでる部位は、おしりの上部、側部、下部から太ももにかけての部分や、太ももの外側部分であり、「腰痛」とは別になります。腰痛は、腰とおしりに痛みが出る症状で、坐骨神経痛とは区別されます。坐骨神経痛と腰痛が同時に起こる場合もあります。

今回は、だれでもすぐにできる坐骨神経痛のストレッチ法と対処法、様々な坐骨神経痛の治療法などを説明します。ストレッチは、改善だけでなく予防にもなり、痛みはないけれど中高年に多い坐骨神経痛や腰痛がこれから心配といった人にもおすすめです。

目次

1、すぐできる坐骨神経痛対処法

1ー1、ストレッチ

坐骨神経痛は、ストレッチ(筋肉を伸縮させる運動)で改善できるものも多いといわれています。痛みがひどいときは中止し、無理なく適度に実践してみてください。また、呼吸や、目的の筋肉に意識を集中して行いましょう。

1ー1ー1、梨状筋のストレッチ

梨状筋(りじょうきん)は、お尻をなす筋肉です。梨状筋が気になる場合は、このストレッチを試してみてください。

ストレッチ法ですが、まず横になり片方の膝(痛む場合は痛む側)を曲げて、反対側の膝の横に置きます。曲げた側の太ももを、曲げていない側の手で持ち、曲げた側の手で曲げた側の骨盤を床に押し当てるようにし、圧を加えます。梨状筋の伸縮ができます。

息を吸ったり吐いたりしながら行うのが大切です。

1ー1ー2、仙腸関節障害のストレッチ

仙腸関節(せんちょうかんせつ)とは、仙骨と腸骨の関節であり、幅は3~4ミリほどの広さです。

この仙腸関節のコリが坐骨神経痛を引き起こすといわれています。また、仙腸関節のズレで骨盤がズレて、便秘や生理痛も起きます。 股関節とも関係があり、合わせてストレッチするのも効果的です。

ストレッチ法は、うつ伏せに寝て、足をひねりながら遠くへ伸ばします。

1ー1ー3、ハムストリングのストレッチ

ハムストリング(はむすとりんぐ)は、お尻から膝までの、太ももの後ろ側の筋肉です。

前屈ができない人は、ハムストリングが固く、ハムストリングをほぐすことで、坐骨神経痛だけでなく便秘解消やヒップアップ、姿勢改善もでき、おすすめです。

ストレッチ法を3つ説明します。

・前屈:立ったまま、片方の足を出し、足を出した側のお腹と骨盤を手で押しながら前屈する。

・開脚:足を開いて座り、膝を曲げたまま、かかとを持って上半身を前に倒す。

・開脚の状態で、片膝を曲げて外向きに倒し、伸ばした膝にかかとをつけます。両手で、伸ばした足のかかとと膝を持ちながら、背筋を伸ばして前に倒す。

1ー1ー4、腰方形筋のストレッチ

腰方形筋(ようほうけいきん)は、骨盤と肋骨をつなぐ筋肉であり、体幹トレーニングや日常生活、スポーツにおいて、、注目されています。股関節を引っ張り上げていることもあり、重要な働きをするインナーマッスルです。

ストレッチ方法を3つ説明します。

・仰向け:膝を曲げて仰向けになり、痛む側の膝を内側へ倒し、もう一方の足を倒した膝に乗せてしばらく置きます。

・バランスボール:バランスボールの上に横向きに寝て、横腹や腰方形筋を伸ばします。

・立ったまま:肩幅に足を開いて立ち、両手を上に伸ばして上半身を横に倒します。腰方形筋を伸ばすようにしながら、反対側も行います。

1ー2、理学療法(運動・温熱・電気刺激など)

病院などで、理学療法士によるリハビリテーションや治療が行われます。器具や機械を用いた運動・温熱・電気刺激なども取り入れます。

また、理学療法とは、運動療法であり、筋肉のコリをほぐして血行を良くし、痛みの原因物質を排出したり、体や筋肉の機能の向上のため、計画的に筋肉を鍛えたりする治療法です。

さらに、温熱療法では、痛みの原因物質を排出するため、マイクロウエーブやホットパックで血行を良くします。お風呂に入ると血行が良くなったり血流がアップしたりするのと同じ仕組みです。

1ー3、薬物療法

薬物療法では、痛みを抑えたりして身体の機能の改善を図る鎮痛剤などの他、筋肉をほぐす薬や、医療用麻薬も使用されます。医療用麻薬は、オピオイド鎮痛薬と呼ばれ、中毒になったりすることもなく、がんの治療にも使用されます。

非オピオイド鎮痛薬のステロイド剤やアセトアミノフェンが一般的な頭痛や歯痛に使われるのに対し、医療用麻薬は専門の医師が投与するものです。鎮痛薬は、脊髄から脳へ痛みを伝える神経の伝達をブロックしたりします。様々な鎮痛薬を、患者に合わせて組み合わせてつかわれます。長期間使用する場合、副作用に注意してください。

1ー4、注射(神経ブロック等)

薬物療法でも効果が出ないときは、痛みの神経伝達を一時的にブロックするため、神経や神経周辺に局所麻酔薬やステロイド剤(副腎皮質ホルモン)の神経ブロック注射をします。

注射する箇所は、脊髄や脊髄から枝分かれしている神経根(しんけいこん)、椎間板(ついかんばん)などです。副作用としては、足腰の力が抜ける、排便・排尿の違和感があります。根本的に治療するわけではありませんが、痛みは改善します。

1ー5、手術

手術しないと治らない類の腰痛もあるといわれていますが、手術なしでもストレッチなどで完治できる場合もあります。整形外科を受診すると、一般的には、まずは手術以外の様々な治療(薬物治療、ブロック注射、整体、マッサージ、カイロプラクティック、鍼灸治療などの保存療法)が行われます。

1ー6、整体、接骨(整骨)、カイロプラクティック

坐骨神経痛への対処は、整体院や接骨(整骨)院、カイロプラクティック院でもできます。施術者に日本の国家資格が必要です。

坐骨神経痛をメインの治療としているのは接骨(整骨)院ですが、様々な治療方法を組み合わせがが可能なのは整体院です。施設にもよりますが、整体では、治療内容の制限がなく、マッサージや矯正の他、鍼灸やカイロプラクティックもできます。保険適用はできません。

また、施術中の痛みが最小といえるのはカイロプラクティックといえます。カイロプラティックは、アメリカ発祥で、背骨のゆがみを治しながら、体の痛みを改善します。機械や薬は使わず、自然に手だけで関節を動かして施術するので痛みや副作用もありません。

免疫力や自然治癒力も高まると人気です。最近、日本でも普及してきていますが、施術者に国家資格は必要なく、誰でもなれるので、良い施設だけとは限りません。

1ー7、鍼灸

鍼灸(しんきゅう)は、世界の医療研究者やWHO(世界保健機)も注目しており、おすすめです。医療用の鍼(はり)や灸(きゅう)を用いて患部のツボを施術し、体の機能を整えたり免疫力を高めます。

痛くない、なんとなく不調(未病)といった状態が、一番、鍼灸の効果が出るとされます。鍼灸は、鍼灸院という医療施設で行われ、国家資格を持った鍼灸師(はり師、灸師)が施術します。

1ー8、安静

 痛むときに無理をすると悪化したり慢性化したりするので、安静は基本ですが、急性の激しい痛みの時は2~3日患部を冷やしながら休みます。また、安静時も同じ姿勢や腰に負担のかかる姿勢はやめましょう。

1-9、サプリメント、テープ、コルセット、ベルトなど市販の商品

市販の腰痛用サプリメントや磁気テープなどは、特に大きな効果は期待できないものの、価格の安さや手軽さで人気です。

関節の痛みやジョイントヘルスに効果があるとされる成分には、コラーゲンやコンドロイチン、ヒアルロン酸、グルコサミンなどがあります。テープやスプレー、湿布、ジェルなど様々な形状があります。

1-10、心理療法、アロマテラピー

ストレスで前かがみの姿勢になるなど、ストレスが痛みの原因になることもあります。

専門家による心理療法やアロマテラピーで腰痛の不安を取り除いたり、腰痛の恐怖を克服するための運動、心身ともに緊張を解きリラックスするといった改善する方法もあります。

具体的には、背を伸ばして状態をそらすなど、簡単な方法で行えます。

2、坐骨神経痛とは?

2ー1、坐骨神経痛メカニズム

坐骨とは、おしりを形作っている骨です。骨盤や股関節、恥骨ともつながっており、人間の直立歩行を支えている重要な部分です。

坐骨神経痛は、病名というよりは、神経痛の総称であり、坐骨周辺の筋肉が坐骨を圧迫して、おしりや太もも、足先までの坐骨神経に痛みやコリ、しびれを起こします。

坐骨神経の中では、「脊髄神経(馬尾(ばび)神経)」と、脊髄から枝分かれした、下半身全ての神経の末端でもある「神経根」の二つが最も重要とされます。

2ー2、坐骨神経痛の症状、特徴

坐骨神経が圧迫されると、激痛というより、比較的鈍痛が起こり、動作によっては全く痛まないこともあります。本人に痛みの自覚がない場合、治療が先延ばしになって悪化したり慢性化したりして、問題です。少し気になったらすぐに治療機関を訪れてみてください。

3、坐骨神経痛が起こる原因と根本的な対処法

3ー1、腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニア

椎間板ヘルニアは、病気であり、坐骨神経を統合している椎間板のうち腰椎椎間板が脊髄中枢神経や末梢神経を圧迫したり神経に突き出て腰痛やしびれが起こります。

痛みは、ぎっくり腰のようにどうにもならないほど激しく、急性腰痛のぎっくり腰と同様、患部を冷やしながら2、3日の安静が必要です。

3ー1ー1、腰椎椎間板ヘルニアの対処法

腰椎椎間板ヘルニアは、一生治らないとか、手術が必ず必要といわれがちですが、セルフケアやストレッチで大部分が楽になるともいわれています。

重傷でない場合、しびれをごまかすのではなく整形外科を受診して治療するのが、長い目で見ると安心でおすすめです。整形外科では保存療法(上記の安静療法、装具療法、薬物療法、ブロック注射、理学療法、生活改善や姿勢改善、ストレス軽減など)が一般的です。

3ー2、腰部脊柱管狭窄症

脊柱管(せきちゅうかん)は、脊髄神経や馬尾神経と呼ばれる脊髄中枢神経が通っている管(くだ)の事です。

腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は、腰部の脊柱管が先天性か後天性の加齢や激しいスポーツ、重労働や長時間座りっぱなしなどが原因で狭くなり、背骨が神経を圧迫する症状です。

馬尾神経(脊髄神経)や神経管(腰から足先までの末梢神経)に腰痛やしびれが起こります。椎間板ヘルニアのと合併している(合併症になる)こともあり、腰椎の手術によって脊柱管狭窄症を改善します。

3ー2ー1、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)の対処法

脊柱管は脳とつながっており、一度障害を起こすと、治らないとされます。脊柱管の狭窄(狭くなること)の改善自体が困難であり、手術を含むどんな方法も一時的な痛みの軽減にとどまるか、悪化するものという事で、整形外科での一般的な治療としては、①薬や牽引療法、②ブロック注射、③手術といった手順になっています。

腰部脊柱管狭窄症は、加齢による体力・筋力低下が大きな原因の一つになっていますが、脊柱管を広げれば、血流が良くなります。ストレッチや、食生活、腰の筋肉を強化すること、ストレスを減らして姿勢よく生活することなどで完治する例も報告されています。

3ー3、症候性坐骨神経痛

通常、梨状筋症候群から坐骨神経痛になったり、腰椎の異常で坐骨神経が圧迫されて椎間板ヘルニアやぎっくり腰などの坐骨神経痛になったり、脊椎間狭窄が起こったりといった、坐骨神経痛の原因がありますが、レントゲンでも原因がみあたらない坐骨神経痛で、治療が困難といわれる症状です。

3ー3ー1、症候性坐骨神経痛の対処法

症候性坐骨神経痛(しょうこうせいざこつしんけいつう)とは、、原因不明であり、治療ができない坐骨神経痛です。

内臓腫瘍(ないぞうしゅよう)が坐骨神経を圧迫している事もあり、病院での診断は必須です。ストレッチや適度な運動で、ある程度改善できます。

3ー4、梨状筋症候群

梨状筋は、いわゆるお尻の筋肉で、深層筋やインナーマッスルの一つです。梨状筋症候群から坐骨神経痛になり、怪我やぎっくり腰、椎間板ヘルニアなどで梨状筋が坐骨神経を圧迫すると、おしりのほっぺが痛んだり足先までしびれたりします。

ひどい場合は、びりびり・熱いしびれ感があります。排便・排尿の違和感などの知覚異常は椎間板ヘルニアの神経根が痛い人よりも多く、悪化すると関節の機能にも障害を加えます。椎間板ヘルニアの可能性もあり、診断が必要です。

3ー4ー1、梨状筋症候群の対処法

ストレッチなどで筋肉をほぐすことが有効です。ストレッチ法については、上記に説明してあります。

3ー5、仙腸関節傷害

仙腸(せんちょう)障害は、骨盤内の仙骨と腸骨という坐骨の関節の事で、3~4ミリほどの隙間をいいます。仙腸関節がずれると、腰痛、坐骨神経痛、足のしびれの他、骨盤もずれて、便秘や腹部違和感、生理不順や生理痛などおも起こります。

3ー5ー1、仙腸関節傷害の対処法

仙腸関節障害は、ストレッチで改善できます。うつ伏せになって、片足ずつねじったり伸ばしたりながら太ももや股関節を柔軟にすることで、仙腸関節のズレを整え、あらゆる体の不調が改善し、坐骨神経痛も改善します。ぜひ、試してみてください。

3ー6、その他(脊椎・脊髄、骨盤内のがん)

脊椎(せきつい)という、背骨1個1個の骨に、他の部位の癌(がん)が転移すると、激しい腰の痛みで夜も寝られないほどになります。また、腫瘍が脊髄や背骨の神経を圧迫すると、足がしびれたり、歩行困難になります。手術や、放射線療法、化学療法が必要です。

4、坐骨神経痛を引き起こさないために

腰に、負担のかからない、無理のない生活をすることが一番大切といわれます。とはいえ、自覚がないこともありますので、注意点を説明します。

4ー1、姿勢に気をつける

長時間、同じ姿勢を続けないようにしましょう。背筋を伸ばして姿勢を良くするように気を付けなくてはいけませんが、姿勢が良くても、1時間に1回は作業を休みましょう。また、座るイスは、腰に負担のかからないイスにしてくださいね。

その他、重たいものを持ち上げるときにしゃがんでから取ったり、腰から曲げて取るのが大切です。

4ー2、筋肉疲労に気をつける

筋肉疲労は、重労働や激しいスポーツなどから起こります。日ごろからストレッチしたり、適度に運動することで、疲労の蓄積から起こる坐骨神経痛を予防・改善できます。その他、患部のツボ押しやセルフマッサージも効果的です。

4ー3、内蔵疲労に気をつける

内臓の病気で坐骨神経痛が起きる場合もあります。癌(がん)が原因の場合もあり、早期に病院でレントゲン写真などをとって調べることをおすすめします。

坐骨神経痛が起こる原因となる内臓疲労・内臓疾患としては、肝臓病、泌尿器の病気、がん・腫瘍、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、腸炎、すい炎、子宮筋腫など婦人科系の病気があります。

4ー4、ストレスに気をつける

ストレスを溜めがちではありませんか?ストレスの発散を上手にして、姿勢や呼吸、坐骨神経痛の改善ができます。特に、ストレッチは、立ちっぱなしや重労働、長時間の職場での拘束や、人間関係、食生活の乱れなど、様々な要因で生じたストレスをその都度緩和でき、おすすめです。

5、まとめ

坐骨神経痛は、特に中高齢者に多いといわれており、若いころからの重労働や激しいスポーツ、姿勢、ストレスなどが原因とされています。がんなど、内臓疾患が原因の場合もあります。

症状が坐骨神経痛であれば、ストレッチや腰に負担のかからない生活などで改善できますが、それ以外の場合は、手術なども必要になってきます。

いずれにせよ、坐骨神経痛が悪化する前に、専門家の指導のもと、ぜひ、治療されるのをおすすめします。