こんにちは、松戸整体院院長の清水です。
今回は遷延性起立性低血圧について、お話したいと思います。
遷延性起立性低血圧とは
遷延性起立性低血圧(せんえんせいきりつせいていけつあつ)は、長時間の立位保持により、持続的かつ顕著な血圧の低下が起こる状態です。
通常の起立性低血圧は、立ち上がった直後に急激な血圧低下が見られますが、遷延性起立性低血圧では、立位を続ける間に徐々に血圧が下がり、その状態が維持されます。
この状態は、長時間の立位が要求される状況(例えば、行列に並ぶ、長時間立ちっぱなしでの仕事など)で特に問題となり、日常生活に大きな影響を与えます。
遷延性起立性低血圧の発症メカニズム
自律神経の異常
自律神経系が正常に機能しない場合、立位に伴う血圧調整が不十分になります。
これにより、心拍数や血管の収縮が適切に制御されず、血圧が低下します。
特に交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、血圧維持が困難になります。
血液分布の不均衡
立位では、血液が下肢に滞留しやすくなります。
遷延性起立性低血圧の患者では、この血液の再分配がうまくいかず、脳や他の重要な臓器に十分な血液が供給されないことがあります。
循環血液量の減少
脱水や出血、あるいは利尿薬の使用による血液量の減少は、血圧を低下させる要因となります。
特に、血管内の水分が不足することで、血液が下肢に滞留しやすくなり、これが長時間にわたって持続することで遷延性起立性低血圧が生じます。
加齢や病気の影響
高齢者では、血管の弾力性が低下し、血圧調整が困難になるため、遷延性起立性低血圧が発生しやすいです。
また、糖尿病やパーキンソン病などの神経変性疾患も、この状態を引き起こすことがあります。
遷延性起立性低血圧の症状
めまい
特に立ち上がった後や長時間立位を維持したときに感じます。
ふらつき
安定して立っていられない、または歩行が困難になることがあります。
失神
血圧が極端に低下すると、意識を失うことがあります。
視覚障害
視界がぼやけたり、暗くなったりすることがあります。
疲労感
持続的な低血圧により、全身の疲労感が強くなります。
動悸
心臓が強く鼓動するのを感じることがあります。
遷延性起立性低血圧の治療
生活習慣の改善
水分と塩分の補給
十分な水分と適度な塩分を摂取することで、血液量を増加させ、血圧を安定させます。
特に水分摂取は重要であり、1日2~3リットル程度の水分摂取が推奨されることがあります。
体位管理
長時間の立位を避け、立つ際には徐々に体位を変えるよう心がけます。
立ち続ける必要がある場合は、時折、体重を移動させたり、足踏みを行ったりすることで、血流を促進します。
弾性ストッキング
弾性ストッキングは、下肢にかかる圧力を高めることで、血液が下肢に滞留するのを防ぎ、血圧の低下を抑える効果があります。
薬物療法
ミドドリン
血管を収縮させる作用があり、立位時の血圧低下を防ぎます。
フルドロコルチゾン
ナトリウムと水の再吸収を促進し、循環血液量を増加させることで血圧を安定させます。
ただし、長期使用には副作用(例えば、低カリウム血症、浮腫など)に注意が必要です。
ベータ遮断薬
一部の患者では、ベータ遮断薬を用いることで、心拍数の過度な上昇を抑え、血圧の安定を図ることがあります。
遷延性起立性低血圧の根本的な原因の治療
遷延性起立性低血圧が他の基礎疾患に起因する場合、その疾患の治療が優先されます。
例えば、糖尿病性神経障害が原因であれば、糖尿病の管理が重要です。
遷延性起立性低血圧の心理的サポート
慢性的な症状に対する不安やストレスが症状を悪化させることがあるため、必要に応じて心理的サポートやカウンセリングが提供されることがあります。
遷延性起立性低血圧の日常生活での対策
立位の回避
長時間の立位を避けるため、必要に応じて座るか、横になるようにしましょう。
食事後の休息
食後は血流が消化器官に集中するため、食後に立ち上がると症状が悪化することがあります。
食後しばらくは座位や横臥位で過ごすよう心掛けましょう。
運動
軽度の有酸素運動や筋力トレーニングが血流を改善し、症状の軽減に役立つことがあります。
ただし、運動は医師と相談の上で行うことが推奨されます。
遷延性起立性低血圧で医療機関にに相談すべき状況
✅症状が頻繁に発生し、生活に大きな支障をきたしている場合
✅自己管理が難しい場合や、現行の治療が効果を示さない場合
✅新たな症状が発生した場合、または既存の症状が悪化した場合
遷延性起立性低血圧は、慢性的な状態であり、患者の生活に大きな影響を与えることがあります。
専門医との継続的なケアと治療計画の見直しが重要です。